お知らせ
2023.5
「火星」1000号を発刊しました。

「火星」1000号発刊によせて
山 尾 玉 藻
昭和十一年二月、岡本圭岳が俳句の旧套脱皮をはかり、清新な俳句を強く希求し、並々ならぬ決意を以って起こした「火星」は、本五月号を以って遂に1000号発刊を叶えることが出来ました。これは俳壇において一つの偉業を成し得たと言っても過言ではなく、火星会員諸氏と大いに喜びを分かち合いたく存じます。
1000号発刊は、「火星」設立を決した圭岳の厚い志と情熱、そして並大抵ではない努力を、今一度思い起こす絶好の機会であるでしょう。そして、ややもすると俳句は趣味、楽しければ良しとする傾向にある中、本来俳句は自身の生きざまを示す手段であることをしっかり見定め、俳句に今以上に厳しく対峙し直す機会でもあります。そうすることで創設者圭岳の俳句精神に一歩でも近づき、その精神に応えていきましょう。
斯く言う私には、二代目主宰岡本差知子より主宰継承をして早くも二十八年の時が流れました。主宰として如何ほどの仕事を成してきたかと顧みると、大変心許ない思いとなります。しかしながら、この間の喜びも難儀も会員諸氏と共に在ったと言う感謝の思いは強く、その思いが1000号の重みとなって私に伝わって参ります。同時に、火星外部の結社、俳人方のご厚誼の賜の重さであることは言うまでもありません。全ての皆様方に感謝するばかりです。
俳壇の高齢化は「火星」内部に於いても悩ましい課題となっております。しかし1000号発刊達成という粘りある精神とエネルギーを自信に、今後も共に「火星」の一層の発展を遂げて参りましょう。
2023.4.30
「火星」1000号を記念した吟行大会が、奈良で開催されました。
コロナ禍の後、ようやく賑わいの戻ってきた古都・奈良を思い思いに散策しながら
久しぶりの吟行を満喫する一日となりました。
(上段左)浮見堂
(上段右)国宝・元興寺
(下段左)春日大社 鹿も寛いでいる
(下段右)句会後の記念撮影
当日の特選句 大寺の柱百本蝿生る 文子
2023.3.15
「生國魂神社」吟行 あかつき句会 西村 節子
コロナの終息の兆しの見え始めてきた頃、あかつき句会で吟行をしましようとなり三月と決定、行き先は「生國魂神社」、毎月催されるあかつき句会会場より徒歩15分程の所にある。神武天皇が日本国の御霊を祀られたのが始まりとか。由緒正しき神社であるのだが大阪人は親しみを込めて「生玉さん」と呼ばせて貰っている。
当日は晴天に恵まれ又とない吟行日和となった。吟行初体験の人や神社まで不案内の人もおり希望者は取り敢えず歌舞伎座の幟の下に集合する。主宰の言われる「平常心で」の心得も何処へやら、雲一つない晴天と相まって皆さん楽しそうである。谷町筋を越えて西を目指せば生玉さんの石の鳥居が見えてくる。先ず手水舎で手を清め本殿へお参りをする。勿論、佳句を賜ります様にとお願いするのも忘れない。由緒ある神社であるが大阪の町中、迷子になる様な境内、杜ではない。しかし立派な分霊社が十一社もあり毎日、供物を捧げ祝詞があげられている。丁度その場に我々も居合わせる事が出来、沢山句にされている。西鶴や織田作之助像、句碑、そして花卉も多く、この時期の椿、沈丁花、木蓮、菫、寒緋桜等々の盛りであった。権禰宜や園丁の方に話をお聞きしたりされて皆さんいよいよ吟行モードに。何やら静かになったと見回せばベンチでそれぞれ作句中である。
集合写真の為にメンバーの一人がスマホを構えていると、お参りに来ていた見ず知らずの男性が「撮りましょうか」と声を掛けて下さった。大阪人らしいジョークを混じえ、角度を変えて何枚も撮って下さり、「さすが生玉さんへお参りに来る人やわ」と変な感心をし又お礼を言わせて頂いた。そろそろいつもの句会場へ移動しなければならない。
春草のやはらかすぎて躓けり 良
囀や浄衣の裾の解れあり 敦 子
神の杜と知るや知らずや目白二羽 晶 子
梅真白小鳥ここよと枝揺らす 美枝子
大鳥居くぐる白蝶先立てて 正 美
待ち合はす梅花と幟目印に 千 代
鐘を撞く袴はためく春夕焼 玲 子
菜の花を活けて利休を偲びけり 珠
竹箒倒れし音に椿落つ 道 子
のどけしや軒寄せ合へる御分霊 緑
清明や樽のお神酒の重ねられ 孝 明
春眠を知らざる竜の手水かな 茂
梅こぼし辺り窺ふ目白の目 史 郎
西鶴の正座へ吹かる春落葉 文 子
紅椿禰宜の祝詞にかしぎけり 節 子
駒返る草ぐさに立ち杖の人 玉 藻

2020.1.24
令和2年度新年俳句大会が1月19日(日)、ホテルアウィーナ大阪にて開催されました。
同人総会の後、ティータイムをはさんで新春句会を行いました。
(上段左)句会終了後の記念撮影。
(上段右)いつものように玉藻主宰による丁寧な評、添削がなされました。
(下段左)2019年度の銀漢賞(年間競詠賞)を見事に獲得された大山文子さん。
(下段右)新春句会で主宰の特選に選ばれた松山直美さん。
太古よりメタセコイアの初御空 直美
2018.8.7
5月26日(土)、第53回関西俳句大会が開催され、山尾玉藻主宰による講演「岡本圭岳と関西俳壇」が行われました。
玉藻主宰のお父上であり、「火星」の創始者である岡本圭岳氏のまさに俳句中心であった生涯を語られています。
2017.3.29
3月7日(火)、新宿京王プラザホテルにおいて、平成28年度俳人協会賞の授与式が行われました。
受賞者
第56回俳人協会賞
山尾玉藻『人の香』(角川文化振興財団)
第40回新人賞
鎌田 俊氏『山羊の角』(恵曇舎)
櫛部天思氏『天心』(角川文化振興財団)
玉藻主宰に同行して、火星の有志メンバーも祝賀会に出席しました。
また翌8日は、懐かしい風情の残る隅田川沿いの佃島、月島での吟行を楽しみ、築地のお寿司屋さんの場所をお借りして句会も行いました。前日の興奮も残り、うれしく楽しく有意義な祝賀吟行となりました。

2017.2.5
第56回俳人協会賞に山尾玉藻主宰の第4句集『人の香』(角川文化振興財団)が
選ばれました。
2017.1.29
平成29年度新年俳句大会が1月15日(日)、ホテルアウィーナ大阪にて開催されました。
また懇親会では、玉藻主宰の句集『人の香』の上梓お祝い会も併せて行われました。
(上段左)新春句会後の記念撮影。
(上段右)第18回火星賞を受賞された小林成子さん。
(下段左)新春句会で特選に選ばれた3名。
蓬莱に滝一筋の白さかな 耀子
とんど火に海峡の潮放ちけり 悦郎
探梅や油の浮かぶタイヤ跡 夫佐子
(下段右)『人の香』上梓をお祝いして玉藻主宰に花束が贈呈されました。
2016.11.25
11月6日(日)、神戸布引ハーブ園で吟行を行いました。
ロープウェイに揺られること約10分、降り立つとそこは一面にハーブが咲き乱れる天空の別世界。
初冬の肌寒さを感じる一日でしたが、ハーブの香りに癒されながら
思い思いに句作を楽しんできました。
(上段左)風の丘エリアではコスモスが花盛り。神戸の街と海を一望できる抜群のロケーションです。
(上段右)散策しながら句材を探す「火星」の仲間たち。
(中段左)ガーデンエリア。色とりどりのセージがやススキが風と戯れています。
(中段右)かわいい赤のロープウェイ。10分間の空中散歩が楽しめます。
(下段左)主宰の特選に選ばれたのは松山直美さん。
ハーブ園の隅にかがよふ蕪菜かな 直美
(下段右)参加者全員で記念撮影。
2016.5.20
蕪村生誕三百年記念シンポジウムが行われ、玉藻主宰が講演を行いました。
(5月1日、大阪市立都島区民センターにて)
講演のテーマは「俳句に感謝」。
ご自身の体験を交えながら、俳句に対する熱い想いを述べられています。
この講演の内容はこちらからご覧いただけます。☞講演「俳句に感謝」
2016.3.2
ベトナムの俳句研究家、ニュー博士が「火星」の本部句会(2月21日)に参加されました。
ニュー氏は在ホーチミン日本国総領事館広報文化班アシスタントを務め、2000年から2年毎にベトナムで行われている日越俳句コンテストを担当。
今回は日本の句会を経験したいということで、「火星」に参加されました。
(写真は句会の後の懇親会での様子)

2016.2.14
山尾玉藻 第4句集『人の香』が新聞各紙で取り上げられています。
●1月11日付毎日新聞より
父の岡本圭岳が創刊した「火星」の3代目主宰として、新風を取り入れながら系譜を守っていこうとする姿勢が、作品の積極性にも感じられる。対象を見る厳しい視線が句集に緊張感を生み出している。〈柚子の木に柚子ひとつある年の空〉
(「新刊」より抜粋)
●1月23日付読売新聞より
「水鳥のごつたに昏れてきたりけり」
日本は水鳥たちの越冬地。各地の沼や湖には冬の間、数多くの水鳥たちが身を寄せる。鴨も雁も白鳥も種類を問わず、ときには諍いながらも仲良く共生するのだ。日が暮れれば、どれがどれやらみなシルエット。句集『人の香』から。
(「四季 長谷川櫂」より抜粋)
●1月25日付読売新聞より
山尾玉藻の第四句集『人の香』は、三年前に亡くなった夫を詠んだ句を収めている。それは悲しみの中にどこかユーモアがあり、そこから何かしら暖かさが伝わってくる。
「夫留守のはへとりぐもを頼りとす」は、いうならばハエトリグモを夫に見立てたようなものだ。しかし前の句から、「留守」は癌の告知を受けた入院だとわかる。となると、「頼りとす」は作者の心細さでもあるのだが、でもユーモラスな感じは消えない。
「夫覚ますごとく煮凝揺らしけり」は、煮凝りから、夫を揺り起こす場面を連想している。ごく普通の日常詠として、目覚めの悪い夫の像が浮かぶが、じつは夫を亡くした直後に詠まれた句だ。
夫は俳人の岡本高明だが、私にはこれらの句が、夫を読者として想定しているように思える。いうならば夫婦間の俳諧であり、二人の掛け合いなのだ。
「末枯や夫の洗顔にぎはしき」は、まだ夫が元気なころの句で、あきらかに夫をからかっている。そして玉藻は、このスタンスをずっと変えていない。
「夫のせて来よまるぽちやの茄子の馬」は新盆の句だが、「まるぽちや」にはどうも女性のイメージがある。これも夫の反応を伺っているようで微笑ましい。
(「俳句時評 仁平勝」より抜粋)
2016.2.10
大阪毛馬町の淀川神社に「蕪村銅像」が建立されました。
1月23日(土)13時より建立除幕式が行われ、玉藻主宰も出席しました。
2016.1.29
平成28年度「火星新年俳句大会」が1月17日(日)に開催。
第1部の同人総会では、新同人の紹介の他、平成27年度「昴賞」の表彰式が行われました。
また第2部新春句会では、主宰特選句に選ばれた3名に主宰染筆の色紙が贈呈されました。
(上段左)主宰を囲んで出席者全員の集合写真。
(上段右)特選句に選ばれた深澤鱶さん、井上恵李さん、田中文治さん(左から)。
扇屋に金の耀ふ去年今年 鱶
追羽子の𣜿の辺に返されし 恵李
福寿草日差しきのふにまさりけり 文治
(下段左)平成27年度の昴賞を受賞された西村節子さん。
(下段右)新同人になられた藤原千賀子さん、大谷美根子さん(左から)。

2016.1.19
小学館の「ビッグコミックオリジナル」連載作品『あかぼし俳句帖』(2015.11.20号)に、「火星」同人 深澤鱶さんの俳句が引用されました。
色鳥の真夜の渡りの色降れる 鱶

2016.1.8
山尾玉藻主宰の第4句集『人の香』が発刊されました。(角川文化振興財団)
平成18年より27年までの10年間の作品が収められています。
2015.11.01
10月24日(土)、「国宝姫路城、好古園」吟行が開催されました。
平成5年、日本で初めて世界文化遺産に登録された姫路城。今年3月には約50年ぶりとなる大改修を終え、白漆喰総塗籠の輝くように優美な姿を見せてくれました。
またお隣りの好古園は、池泉回遊式の日本庭園で句材がいっぱい。
秋晴れの一日、見どころ満載で充実した吟行・句会を楽しんできました。
(上段左)遠目にも優美な姫路城。飛び立つ白鷺に例えられ、白鷺城とも呼ばれています。
(上段右)お濠を和舟の遊覧船が行きます。水上から眺めるお城もまた格別。
(下段左)最優秀作に選ばれたのは小野勝弘さん。主宰の色紙が贈られました。
末枯や鷺の見つむる水の皺 勝弘
(下段右)句会場の姫路市市民会館の前で記念撮影。
2015.07.08
6月27日(土)、火星吟行会「橿原市今井町」が開催されました。
今井町は称念寺を中心とした寺内町で、現在も500軒もの町家が立ち並び、江戸時代の姿を残しています。
思い思いに散策したあと、今井まちなみ交流センター「華甍」で句会が開かれました。
(上段左)称念寺本堂。今井町は称念寺の境内地として発達した寺内町です。
(上段右)江戸時代の伝統様式を保った町家の続く町並み。まるでタイムスリップしたかのよう。
(下段左)今井まちなみ交流センター「華甍」で句会のあと、全員で記念撮影。
(下段右)特選に選ばれたのは林範昭さんと大山文子さん。ジャンケンで勝った林さんが主宰の色紙を贈られました。
放生の亀の出歩く沙羅の花 範昭
日盛や不意に開きし大引戸 文子
2015.05.12
5月2〜3日、火星一泊吟行『古季語・大原志(おばらざし)を訪ねて』が開催されました。
鬼伝説で有名な大江山、そして大原神社で行われる祭礼「大原志」を見学。
句会、懇親会など、楽しく充実した2日間でした。
(上段左)大江山・鬼の交流博物館を見学。いろんな鬼たちと出会いました。鬼瓦の前で記念撮影です。
(上段右)安産の神様、大原神社に残る貴重な民俗遺産の「産屋(うぶや)」。昔はここでお産をしたそう。
(中段左)大原神社本殿。大原神社に参詣することを「大原志」といい、古くから歳時記にも載っている季語です。
(中段右)夕食の後のお楽しみ懇親会。マジシャン影山悦郎さんの手品で大いに盛り上がりました!
(下段左)一日目の句会で見事、特選をとった竿山康枝さん。特選句は「早蕨の拳解きたる大江山」
(下段右)二日目の句会では、大東由美子さんが特選に輝きました。特選句は「田の水のかがやきはじむ大原志」