let's  いめいじん句" 

「いめいじん句" 」投句大募集!

 

 

 

月号「いめいじん句" 」のお知らせ

 

毎月掲載される1枚のカットをもとに、

自由な発想による作品を募集します。

応募された作品を選者が鑑賞いたします。

初心者の方も大歓迎!お気軽にご応募ください。

今月募集する作品は右のものです。

                                                                                                                                      

                                   カット:山本耀子

                                                                                                                                             

[例句]

蘆の角泥つやつやとうねりけり

船頭の声のよかりし青柳

立春の花嫁のくる渡しかな

                                                                                 

 ●投句方法

 投句はメールでお願いします。

専用投句フォームに必要事項をご記入のうえ

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下記のアドレスでも受け付けています。

info@kaseihaikukai.com

 

 

 

●締め切り

 

28日(水)

 

●入選作品発表

 

月予定

 

               


1月号「いめいじん句"」  入選作品発表

                     河崎尚子選

 

 

 

 

 

 

 

縁下に目覚めの蟇や春隣                                                           南野ひとし

季語「春隣り」は「春待つ」の様に感情をストレートに表さないで、春の訪れを雨や陽射し、

芽吹く草木といった身ほとりの移ろいに感じとり、その思いをそこはかとなく秘めた季語だとあります。

ある日縁の下に冬眠から目覚めた蟇を見つけられたひとしさん。

春がもうそこに来ていることを感じられたのです。この目覚めから蟇達の恋が始まります。

身辺の春への移ろいが面白く写生されていてひとしさんの心楽しさが伝わります。

 

春だから羽目を外して蛙飛び                                                    わるこ

句はご自分を鼓舞するための思いを写生されている景だと判断しました。

添書きに「足が痛くて蛙飛びなどもっての外ですが」とありましたが、

俳句は事実の記録ではなく詩です。それにしても鳥獣戯画からのイラスト、二匹の蛙から

「蛙飛び」を連想されるなんて、発想の展開の豊かさに惹かれます。

夢中で遊んでいる子供達の景かなとも思いましたが、中七とは馴染まないので、

ご自分の思いをユーモラスな景にして表現されているのでしょう。

愉快な景だけにかえってペーソスをも感じさせる陰影のある句になりました。

 

兄未満友だち以上遠蛙                                                                 坂倉 一光

友達以上。その方をただ単純に友達だと言いきってしまうには足らないほど

信頼と好意を持っていられる仲なのでしょう。

でもやっぱり尊敬するお兄様への思い程ではない、という関係なのでしょうか。

それとも、その友達を色々な意味で兄だとも思って居ると言う事なのでしょうか。

季語、遠蛙にそれぞれの方への思いの内容と距離感とを諾っていられるのを感じます。

 

子供らのしゃがむ畦道蝌蚪の紐                                                 みさを

景がはっきり見えて絵本の一ページを見ているようです。学校帰りの子供達でしょうか。

通学路が畦道に差し掛かった時、誰かがゼリー状の紐に包まれている蛙の卵を

田んぼの水たまりに見つけたのでしょう。見つけた子が得意気に

「これ蛙の卵だよ。知っていた?」と得意げに言っている声まで聞こえてきそうです。

筆者は幼かった頃の、ある春の日の珠のような時空へ一瞬戻ったかのような、

楽しい時を味わうことが出来ました。

 

掌の餌へやまがら集ふ冬温し                                                    昼寝                                       

やまがらと言えば、縁日などで小さな神殿からおみくじを嘴に運んで来る

愛らしい景が思い浮かびます。が、この句のやまがらは掌に集まって来るのですから、

餌付けされているのかも知れません。でも、筆者は野生の鳥だと思いたく、

季語「冬温し」も厳密に言えば暖冬の意味ですが、この句では「温し」の意味を

もっと広く感じました。木々の実も食べつくされて鳥たちは飢え気味なのでしょう。

餌を載せた掌はさぞこそばゆかったでしょうね。暖かな心を感じさせる句です。

(図鑑などでは鳥の名をカタカナで表示しますが、俳句ですのでひらがなにさせてもらいました。)

 

冬眠に高速道の開通す                                                                こつこ

冬眠中の蛙やイモリ、山椒魚、蜥蜴の眠りの深さはどのぐらいなのでしょう。

平地の少ない我が国は山を削り、貫き、谷を跨ぐ橋を架けるなど、

いつもどこかで高速路の普請中です。たとえ冬眠中の穴が工事で崩されなかったとしても、

変温動物故に、体を動かす事が出来なくて振動や音から逃げることはできないでしょう。

生きながらえて春、冬眠から目覚めたとしても、穴を出ればもうそこは高速で

車が行き交う別世界です。人間にとって暫く訪ねなかった谷や山が

様変わりしているのを見るのは懐しい思い出を失う事ですが、

動物たちには命を失う事でもあります。

 

帰り道雪がつせんしてさけび声                                                   白根悠花

今年は東京でもたくさんの雪がふりましたね。学校からの帰り道でしょうか。

雪がっせんになったのですね。雪のボールを丸めている背中に他の子のボールが

当たったのでしょうか。それとも飛びちった雪のひとひらがだれかの首に入ったのでしょうか。

大きなさけび声が飛びかう、とても楽しいばめんを目の当たりにするようです。

ころんだりはしませんでしたか?

 

雪降つて冷たいベッドにがまがえる                                           白根佐久良

冬眠中の蛙はどんな夢をみるのでしょう?

田んぼのあぜみちの近く、蛙の眠っている深い穴の土の上にも雪が積もりました。

その余りにもの寒さに、がまがえるは、激しく降る雪の夢を見ました。

そのふかふか積もった雪の冷たいベッドに寝ている、という夢を蟇は見たのでしょう。

《とても嬉しいニュースです。佐久良さんが世田谷文学賞、俳句の部で佳作を獲得されました。

佐久良さんおめでとうございます。》

 

がまがえる都会の隅にひつそりと                                                 白根紗知子

がまがえる、大都会にもいるでしょうね。

都会と言っても人家の庭や公園、緑や水のあるところでは生きていけるのでしょう。

下五「ひつそりと」が哀感を感じさせます。「四肢は短く背面は黄褐色又は黒褐色、

そして多数の疣があり、夜出て舌で昆虫を捕食」と辞書にあります。

見た目が良いとは言い切れません。殖のために早春、冬眠中の土中から出て来ても

都会ゆえ愛を交わす相手が見つからない年もあるでしょう。

見た目も悪く、恋の相手も見つからない、そんな、がまがえるが身辺にひっそりと

いるかもしれないと思うだけで、寂しい時は「おまえもか」と自身を慰められそうです。

 

魔法から解けた蛙は王子様                                                              紀風

こんな童話があったような気がします。イラストは鳥獣戯画からのものですが、

この句にしても鳥獣戯画にしても人間の発想力や想像力は本当に自由で楽しく凄いものです。

俳諧味もたっぷりあるメルヘンめいた句が立ち上がりました。

 

目借時手にはまろやか志野茶碗                                                    翠丘

「蛙の目借時」が本来の季語ですが長いのでほとんどが「目借時」と略して使われています。

イラストから季語への発想力に脱帽です。

春も深まるころ人は眠くてたまらなくなるのは蛙が人の目を借りて行くからだという

俗説に基づく俳諧味のある季語だとあります。志野焼は抹茶茶碗でしょうか。

白釉が厚く施してあるので、本当に掌に柔らかくまろやかですね。

その感触と季語とが響きあって作者の充実した気持ちが読者に伝わってきます。

しっとりと落ち着いた良い景です。