冬支度午後より椎の下に来て
虹消えてきれいな馬糞ありにけり
遠足の列恐竜の骨の下
鴨たちとひとつ闇なる枕かな
ザリガニの音のバケツの通りけり
初めての老眼鏡に守宮ゐる
鮟鱇の肝の四角の揺れてをり
雛あられちよつと揺すりて飾りけり
陽炎をよく噛んでゐる羊かな
観音に会ひたくて蜷すすみをり
六月の畳に拾ふ樒の葉
夏の色なり宝塚大劇場
瓢箪が夜遊びおぼえはじめけり
蕗むいていち日むいてゐるやうな
葬つて来し手ばかりの焚火かな
鴨鍋のさめて男のつまらなき
ざざ虫の佃煮つひに届きたる
裏白のふんはりとありダンボール
俎に置き直されし海鼠なり
男つひに跼みこんだる大桜
大きいやうな小さいやうな草の餅
両の掌の桃のかたちに桃受くる
白息の出会ひたくなき人なりし
夜焚火に染まる赤子を渡されし
魚籠のぞき今日の暑さの始まりぬ
どの雲となく水となく端午かな
出雲よりもどりて衣更へにけり
とのぐもる草刈に音出できたる
大阪に飽かず蝙蝠にも飽かず
初夢の湯殿に会ひし比奈夫翁